診療案内
白内障
白内障とは?
目の中にある水晶体という透明なレンズがにごる病気です。その結果、視力が落ちる、目がかすむ、光がまぶしいといった症状があらわれます。
ほとんどの白内障は一種の老化現象であるため、年齢とともに誰でも白内障になります。50代の約50%、60~70歳代の70~90%、80歳以上ではほぼ100%が白内障になると言われます。
放っておくと視力が低下し、レンズ(水晶体)のにごりが強くなるほど手術が難しくなり、合併症が起きるリスクも高くなります。白内障の進行の具合を定期的にチェックして、適切なタイミングで治療を受けることをおすすめします。
放置するとどうなるの?
白内障は怖い病気であるという印象はないかもしれません。しかし世界的に見ると、いまだ失明原因のトップです。日本における失明率も3.2%とゼロではありません(2007年日本における中途失明原因厚労省調査)。白内障を未治療のまま放置すれば、視力を失う可能性があります。
また、水晶体の濁りが強くなるほど手術が難しくなり、合併症が起きるリスクも高くなってしまいます。また、白内障を放置しておくと、交通事故や転倒骨折のリスクが高くなったり、認知症が悪化する可能性も指摘されています。
白内障がどれくらい進んでいるのか定期的にチェックして、適切なタイミングで治療を受けることをお勧めします。
白内障の原因は?
加齢によるものがほとんどですが、他の原因でも発症することがあります。アトピー性皮膚炎や糖尿病などをお持ちの方、ステロイドを使用している方などは特に注意が必要です。
‐喫煙
喫煙者は白内障になりやすいことが分かっています。1 日 20本以上の喫煙で2~3倍程度発症しやすくなると言われています。
‐糖尿病
糖尿病があると、白内障が5倍発症しやすくなると言われます。30~40代などで手術を受けなくてはならない場合があります。
‐アトピー性皮膚炎
若年者の白内障の原因でもっとも多く、また進行スピードが早いことが知られています。目をこすったり、叩いたりすることとの関連が指摘されています。痒みが出ないように皮膚炎をコントロールすることが重要です。
‐ステロイド薬
ステロイド薬には内服薬、吸入薬、軟こう、目薬など色々な種類がありますが、白内障を特に引き起こしやすいのは原因になりやすいのは内服薬や、喘息の治療などで使用する吸入薬です。
‐その他
ぶどう膜炎に伴うもの、風疹など先天性のもの、紫外線、放射線や赤外線によるものなど、様々な原因があります。
白内障になるとどんな症状が出るの?
白内障の症状には個人差があります。濁り方が人によって異なるからです。自分に当てはまる症状はないか考えてみてください。
‐視力が低下する
レンズ(水晶体)のにごりが全体に広がると、視力が低下します。これは眼鏡やコンタクトの度数を変えても改善しません。実際に、「運転免許の更新ができなかった」「眼鏡やコンタクトが合わなくなったので作り直したが、改善されない」といったきっかけで受診する人が多くいらっしゃいます。
‐目がかすむ
水晶体の濁りが進行すると、白い霧がかかったようにぼやけて見えるようになります。
‐光がまぶしい
水晶体の濁りによって光が散乱します。その結果、「朝日や夕日がまぶしい」、「対向車のヘッドライトがまぶしい」、「街灯や信号の光がまぶしい」といった症状があらわれます。
‐近視が進む
白内障によってレンズの厚みが増すことで、近視が強くなることがあります。「昔は老眼鏡をかけていたが、最近はかけなくても本が読めるようになった」という人もいます。
‐二重に見える
濁りによって光の進み方が乱れてしまい、モノが二重に見えるようになります。
‐暗いところで見えづらい
レンズ(水晶体)のにごりによって、光が目の奥まで届きにくくなり、暗い場所で見えづらくなります。
白内障を治すにはどうしたらいいの?
進行した白内障を治す食品や薬はありません。白内障の目薬として、ピレノキシン(製品名:カリーユニ点眼)がよく使われますが、これは白内障の進行を予防するための目薬です。
白内障を治す唯一の方法は手術です。
津田眼科医院では白内障手術は行っておりませんので、ご希望を伺いながら、適切なタイミングでご本人の目の状態に合った手術施設をご紹介しています。
手術ではどんなことをするの?
濁ったレンズ(水晶体)を超音波でくだいて取りのぞき、人工の眼内レンズを挿入します。手術には、入院と日帰りがありますが、全身状態等に問題がなければほとんどの施設が日帰りで行います。通常は全身麻酔ではなく局所麻酔で行います。白内障の状態によって差がありますが、平均的な手術時間は15分~20分程度です。
どういう状態になったら手術が必要?
手術が必要かどうか判断するための明確な基準はありません。ご本人の希望と、目の状態両方を考えながら相談して決めていくことがほとんどです。あくまで目安ですが、以下のような状態になったら白内障の手術を考慮してもよいでしょう。
‐両眼視力が0.7以下になる
私たちが日常生活を安全に送るためには、視力は両眼で0.7以上必要だと言われています。特に車を運転される方は早めに考慮してもよいでしょう。
‐日常生活に不便を感じるようになる
光がまぶしい、目がかすむといった症状で不便だな、ストレスだなと感じている状態
‐レンズ(水晶体)の濁りが中程度まで進む
水晶体の濁りがある程度進んでしまうと、白内障の手術が難しくなり、合併症のリスクが増えてしまいます。白内障が中程度くらいまで進んだら手術を検討することをおすすめします。
眼内レンズとは?
白内障の手術を受けることによって、濁りが取れるぶんだけ明るく、見やすくなります。しかし、人工のプラスチックレンズは伸び縮みしないために、自由にピントを合わせることができません。手元にピントを合わせた単焦点レンズを選択すると、運転時など遠くのものを見るときは眼鏡が必要になります。多焦点レンズは遠くのものと近くのもの両方にピントが合うように設計されていますが、完璧ではありません。見る位置によっては、眼鏡が必要になることもあります。
そのため、自分がどんな距離を中心に見たいのか、ご自分の生活で何を優先したいのか考えて眼内レンズの選ぶ必要があります。手術する医師とよく相談して選択しましょう。眼内レンズには大きく分けて、健康保険が適用される単焦点レンズと、適用されない多焦点レンズがあります。
術後のあとはどうしたらいいの?
術後の生活の注意点をまとめておきます。ただし、状態によって術後の注意点は異なります。詳しくは手術してもらった医師の指示に従ってください。
定期的な受診と点眼
手術後は定期受診が必要になります。また3か月程度点眼をし続ける必要があります。重篤な合併症が出ることもありますので、医師の指示に従ってきちんと行いましょう。
手術後1週間は洗髪・洗顔を避ける
手術後、1週間は傷口から目の中に細菌が入りやすいため特に注意が必要です。洗髪や洗顔はできません。絞ったタオルなどで、目の中に水が入らないように優しく顔を拭くことは可能です。
手術後1週間はアルコールを控える
食事には制限はありません。アルコールは炎症を悪化させる可能性があるため、1週間は控えましょう。
建設業、屋外での仕事は2週間程度の休みを
通常のデスクワークであれば、翌日から復帰可能です。建設業などの力を要する仕事や屋外での仕事などの場合は2週間程度休む必要があります。家事は翌日から可能です。スポーツは汗が目に入らないような軽いウォーキング程度であれば翌日から可能です。ある程度激しいスポーツは1か月間は控えましょう。
車の運転はまず慣らし運転から
運転に関しては、その人の術後の状況によって異なります。通常は、少なくとも2週間程度は控えていただくことが多いです。いきなり長距離を運転せず、近所での慣らし運転するようにしましょう。
眼鏡は作り直しを
眼鏡は通常は作り直す必要があります。視力が安定してくるまで数か月かかります。生活に困難を感じる場合は、術後早めにいったん眼鏡をつくり、視力が安定する2~3か月後くらいにそれを微調整して新しい眼鏡に作りかえるのも一つの方法です。
白内障を予防する方法は?
‐紫外線を避ける
紫外線によって、白内障が進みます。日差しが強い日には、日傘を使う、つばの大きい帽子をかぶる、サングラスをするといった工夫をしてください。
‐目をこすらない
目をかゆくてこするなど、小さいダメージが蓄積することで白内障が進みます。目をこすらないようにしましょう。
‐抗酸化物質を取る
水晶体はたんぱく質の酸化で濁ってきます。ルテインなどの抗酸化物質を多く摂取することは白内障に予防効果がある可能性があります。緑黄色野菜を使ったサラダなどを意識して食べるとよいでしょう。ルテインはほうれん草、ブロッコリー、パセリなどに多く含まれます。
院長より一言
津田眼科医院では白内障の進行を確認し、適切なタイミングで適切な施設にご紹介いたします。手術後は引き続き当院に通院いただくことが可能です。当院では無理に手術を勧めることはせず、ご本人のご希望を良くお聞きして、中立的なアドバイスをさせていただきます。どんなことでもお気軽にご相談ください。
本八幡の眼科 津田眼科医院