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2022.06.11

緑内障の目薬①~プロスタグランジン薬とβ遮断薬~

緑内障と目薬

緑内障の治療は、多くの場合眼圧を下げる目薬を使います。緑内障の目薬にはたくさんの種類があり、それぞれ特徴があります。かつ効果の出方にも個人差があります。眼圧検査や視野検査のデータを見ながら、ご本人に合う目薬をある程度時間をかけて見つけていく必要があります。

また緑内障の目薬には副作用が出ることもあります。目薬を開始して何か気になることや、不調を感じたときはすぐにご相談ください。

目薬の効果を上げるために

目薬をさした後は、しばらくのあいだ目を閉じ、そっと目頭を押さえてください(1分~3分程度)。このことで、目薬の効果が上がり、全身への副作用のリスクが下がると言われています。

目薬の種類と特徴

緑内障の目薬のうち、最も効果が高く、まず使われることが多いものには、「プロスタグランジン関連薬」と「β(ベータ)遮断薬」があります。今回はこの2種類について詳しく解説します。

プロスタグランジン関連薬

〈薬剤名〉

キサラタン(ラタノプロスト)、トラバタンズ(トラボプロスト)、タプロス(タフルプロスト)、ルミガン(ビマトプロスト)など

〈特徴〉
最も効果が高い目薬です。房水が目の外に出ていくのを促進させることで眼圧を下げます。通常は1日1回夜寝る前に使用します。全身への副作用が少ないのですが、目の周りに副作用が起きます。主なものは以下の通りです。

〈代表的な副作用〉

1)充血:点眼直後から起きますが、1~2か月するとだんだん消えてくることが多いものです。
2)まつ毛の変化:まつ毛が伸びる、太くなる、増えるなどの変化が出てきます。
3)まぶたの皮ふの黒ずみ:まぶたの皮ふに色素が沈着し黒ずんできます。
4)上まぶたのくぼみ:上まぶたのくぼみがくっきりしてくる副作用です。
5)虹彩の色素沈着:茶目(虹彩)の色が濃くなってきます。この副作用は、点眼を中止しても元に戻りません。

これらのうち、2)まつげの変化、3)まぶたの皮膚の黒ずみ、4)上まぶたのくぼみについては目薬を中止すればある程度は元に戻ります。また、まぶたの皮膚の黒ずみは、目薬が皮ふに残ることによって起こります。おしぼりなどでよくふき取るか、お風呂に入る直前に目薬をして、すぐに顔を洗うようにするとよいでしょう。

※エイベリス(オミデネパグイソプロピル)
2018年に発売された比較的新しい目薬で、プロスタグランジン関連薬の仲間です。まぶたの皮膚の黒ずみやまつ毛が増えるといった副作用が起きにくいのが最大の特徴で、見た目が気になる方に処方されることがあります。白内障の手術後の方には眼底に病気を発症することがあるため使用できません。また、虹彩炎やぶどう膜炎といった病気がある方には慎重に用いる必要があります。

・β(ベータ)遮断薬

〈薬剤名〉

チモプトール(チモロールマレイン酸塩)、リズモンTG(チモロールマレイン酸塩)、ミケラン(カルテオロール塩酸塩)、ミケラン(カルテオロール塩酸塩)など

〈副作用〉

房水の産生を抑えることで眼圧を下げる目薬です。1日2回のもの(チモプトール、ミケラン)と、持続型の1日1回(チモプトールXE、リズモンTG、ミケランLA)のものがあります。1日1回のものは朝に使用します。負担が少ない一方、点眼後かすむので運転の直前には使用しないなどの注意が必要です。

〈副作用〉

β遮断薬は目の周りの副作用が少ない代わりに、全身への副作用が起きることがあります。そのため、元々心臓や呼吸器の病気を持っている方は使用できないことがあります。

※β遮断薬が使用できない可能性がある病気
・気管支喘息
・慢性閉塞性肺疾患
・心不全
・洞性徐脈
・房室ブロックなど

「プロスタグランジン関連薬」や「β遮断薬」を使っても、思うように眼圧が下がらず、視野障害が進むようであれば、「炭酸脱水酵素阻害薬(たんさんだっすいこうそそがいやく)」、「α2(アルファツー)刺激薬」、「ROCK(ロック)阻害薬」といった薬剤を併用していきます。

院長より一言

緑内障の目薬を使い続けることは大変です。しかし、毎日忘れずに使えるように「習慣化」することが、緑内障の視野障害の進行を防ぐポイントなのです。お忙しい方であれば、なるべく点眼回数が少ない薬剤を組み合わせるなど、ご自分に合った目薬を選ぶことも大切です。

「目薬をつい忘れてしまう」「別の目薬を試してみたい」などあれば、外来で遠慮なくご質問、ご相談ください。

本八幡の眼科 津田眼科医院

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