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目の病気

ドライアイ

ドライアイとは?

涙の安定性の低下によって、目の乾きや疲れといった色々な症状があらわれる病気です。2011年に日本で行われた大規模な疫学調査では、オフィスワーカーの約6割がドライアイもしくはその疑いという結果が出ています。ドライアイには色々なタイプがあり、眼科ではそのタイプを見極めて目薬を処方します。市販薬を使っても症状が改善しない場合には、眼科を受診することをおススメします。

ドライアイの症状は?

ドライアイの自覚症状は「乾き」だけではありません。次に挙げるようないろいろな症状があります。

ドライアイの原因は?

1)加齢

調査によると、60歳以上の約7割がドライアイであると報告されています。年齢とともに涙腺という涙を出す組織の機能も落ちていくことが知られています。

2)マイボーム腺機能不全(MGD)

マイボーム腺とは、目の縁(まつ毛の付け根近く)にある組織です。目の表面に油を供給して涙の蒸発を防ぐ役割を担っています。この働きが低下することを、マイボーム腺機能不全(MGD:Meibomian Gland Dysfunction)と呼び、ドライアイの原因となります。

3)パソコンなど電子機器の使用

まばたきの回数が減少すると、目の表面から涙が蒸発しやすくなります。私たちは、ふだん1分間に20回程度まばたきをしていますが、パソコン作業中は、まばたきの回数が1/4程度に減ります。スマートフォンの普及、コロナ禍によるテレワークの推進などがこの傾向に拍車をかけています。

4)コンタクトレンズの装用

調査によると、コンタクトレンズ使用者の約8割が目の乾燥を自覚していると報告されています。ソフトレンズは、水分を吸収しやすいため、目の表面の涙が奪われてしまいます。ハードレンズは、レンズ周囲の水分をレンズの縁が引き寄せてしまうことにより、ドライアイが生じます。ハードレンズによるドライアイは、時計の3時方向と9時方向に生じやすいのが特徴です。
コンタクトレンズの長時間使用も原因となります。

※参考:コンタクトレンズと目の病気

5)白内障の手術後やレーシック手術後

白内障や近視矯正手術(レーシック)の手術後に起きる炎症などによりドライアイが生じることが知られています。

6)その他

エアコンは空気が乾燥させ、涙が蒸発しやすくなります。その他、夜型生活へのシフト、運動不足などのライフスタイルも影響していると言われています。

ドライアイの治療

1)目薬による治療

まずは目薬による治療からスタートします。日本には大きく分けて4種類の目薬が存在します。ドライアイには色々なタイプがあり、眼科ではそのタイプに応じて目薬を選び、組み合わせて治療します。

‐人工涙液

涙と同じの濃度の塩分を含んだ目薬です。一時的に目の表面の涙の量は増加しますが、その効果は数分で消えてしまいます。そのため「目薬をした直後はよいが、すぐに乾いてしまう」という訴えが少なくありません。

防腐剤が含まれているものは目を傷めてしまうことがあるため、含まれていないものを選ぶとよいでしょう。「ソフトサンティア」、「ロートソフトワン」などが市販されています。防腐剤が含まれておらず腐りやすいため、開封後は10日たったら廃棄するようにしましょう。いずれもコンタクトレンズの上から使用可能です。眼科で処方されることがある「マイティア」は、防腐剤が含まれているためレンズ装用中の点眼はあまりおすすめできません。

‐ヒアレイン点眼(一般名:ヒアルロン酸ナトリウム)

以前から使用されているドライアイ治療の目薬です。目薬以外にも化粧水などにも使われているので有名です。保湿効果があり、使い心地が良い目薬です。乾きによってできる目の傷を修復する効果もあります。副作用がほとんどないため、妊娠、授乳中でも使うことができます。

ただし、涙が少ないタイプのドライアイには逆効果になることがあり注意が必要です。ヒアルロン酸はトロミがあるため、目の表面にある涙を奪ってしまうのです。眼科で処方されるヒアルロン酸の目薬は濃度が0.1%のものと0.3%のものがありますが、濃度が高い0.3%のものを使うのは避けた方がよい場合もあります。

近年、「ヒアレインS」という市販薬が発売され、ドラッグストアでヒアルロン酸の目薬が購入できるようになりました。ただ症状が改善しない場合には、きちんと原因を見極めて(もしくはドライアイ以外の病気がないことを確認して)自分の目に合った目薬を使うことをおススメします。

‐ジクアス点眼(一般名:ジクアホソルナトリウム)

ジクアスは2010年に発売された比較的新しい目薬で効果が高いドライアイのお薬です。目の表面にはムチンという物質があります。ムチンはノリのような働きをする物質で、目の表面に涙を繋ぎとめておく働きを担っています。

ジクアスはこのムチンを増やす働きがある目薬で、涙の安定性を高めてくれます。また結膜からの涙の分泌を増やす効果もあります。ある研究ではヒアレインと比較して3倍も目の表面に涙を増やす時間が長かったと報告されています。

しかし、その効果を引き出すためには、点眼回数を守ることが重要です。乾いたときだけにさすのではなく、一日2~3時間間隔、1日6回の点眼を継続しましょう。きちんと使えている場合、1か月で3本くらい消費することが普通です。数週間で涙の量が増えて、涙の質が良くなり、効果が実感されてきます。

※現在は、ジクアスLXという点眼薬が処方できるようになりました。これは1日3回ですむというメリットがあります。ジクアスと比較して刺激感も少ないといわれています。

ジクアスの副作用はほとんどありません。使いはじめたばかりには「しみる」という訴えは比較的多いのですが、多くの場合点眼を続けていると慣れてきます。

また、ジクアスを使い続けていると、透明な糸を引くメヤニのようなものが増えてくることがあります。これは、ジクアスが前述のムチンを増やす効果を持つためで、特に問題ありませんが、気になる場合はご相談ください。

‐ムコスタ点眼(一般名:レバミピド)

ムコスタは2011年に発売された比較的新しい目薬で、もともとは胃炎や胃潰瘍に使われていた薬剤をドライアイの治療薬に応用して開発されました。

ジクアスと同じようにムチンを増やし、涙の安定性を高める効果があります。炎症を抑える効果もあるため、アレルギー性結膜炎など炎症を伴うようなドライアイに対して特に効果を発揮します。

ムコスタには欠点がいくつかあります。まず、白く濁った目薬であるため、点眼直後はかすみます。そのため、運転時には使うことができません。また点眼後、独特の苦みが生じることがあります。苦みは全く気にならない人もいれば、とても不快に感じる人もいて個人差があります。また、頻度は低いですが涙道閉塞(涙の通り道が閉塞してしまう)、涙嚢炎(なみだぶくろが炎症を起こす)が生じることがあります。急に涙が増えたり、目頭が赤く張れるといった症状があったときは点眼を中止する必要があります。

2)涙点プラグによる治療

涙点プラグは、涙の減少を伴うドライアイに対する治療法です。涙点という涙の排出口にあたる部分をプラグ(栓)で蓋をしてしまうことによって、目の表面の涙の量を増やします。目薬による治療で効果がなかった場合でも涙点プラグで劇的に改善する場合も少なくありません。

※現在、当院では涙点プラグによる治療は行っておりません。ご希望の方は他院をご紹介いたします。

3)その他

‐ホットパック(目を温める)

市販の温めて使うアイマスクを朝晩5分程度目の上に乗せて使うことで改善が見込めることがあります。

ホットパック

‐パソコン中などは意識的にまばたきをする

パソコンや読書をすることでドライアイになる原因は、まばたきの回数が減るためです。意識的にまばたきをするようにしましょう。

‐コンタクトレンズの種類を変える

ソフトコンタクトレンズの種類を「シリコーンハイドロゲル」と呼ばれる素材でできたものに変えることは有効です。従来のソフトコンタクトレンズと比較して、含水率が低く、水分が蒸発しにくい特徴を持ち、目の表面から涙を奪いにくい傾向があります。雑貨屋等で市販されているカラーレンズは粗悪な素材のものが多く、ドライアイを悪化させますので避けるようにしましょう。

‐コンタクトレンズの装用時間を短くする

コンタクトレンズの長時間装用はドライアイを引き起こします。装用時間は10時間/日以内くらいにとどめることをおすすめします。程度によっては、コンタクトレンズの装用を大幅に制限せざるを得ないこともあります。

‐ドライアイ用の眼鏡をかける

保水パックに水を注入して装着し、眼鏡のフレーム内の湿度を保つことで目の乾燥を防ぐための眼鏡があります。

‐その他

エアコンや扇風機の風には直接当たらないようにしましょう。冬などは加湿器を使ったり、濡れたタオルを室内にかけておくなどして部屋が乾燥しないようにします。

院長より一言

当院では、ドライアイの原因を見極めた上で、その方にあった適切な治療薬を処方するようにしています。コンタクトレンズを使っている方には、レンズの選び方、目薬の使い方についてのアドバイスもしております。お気軽にご相談ください。

参考:当院で販売しているコンタクトレンズ

本八幡の眼科 津田眼科医院

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